一澤帆布が大変です

なんかごたごたしていたことは知っていたのですが、ここまでとは……。京都に一澤帆布というかなり有名なかばん屋さんがあるのですが、そこのお家騒動の話です。

簡単な流れとしては

先代社長死去 ⇒ 三男の信三郎氏が先代の株式を相続へ ⇒ そこへ、長男が三男とは別の遺言書を持って登場 ⇒ 裁判の結果、長男が勝訴 ⇒ 長男が先代の株式を相続 ⇒ 結果長男と四男の株式保有数が合計で過半数を超える ⇒ 三男が株主総会で社長職を解任される ⇒ 三男、従業員のほとんどをつれて別会社(一澤帆布の製造部門を受け持っていた会社)に移籍 ⇒ 裁判所が三男に工房を明け渡すよう命令


といった流れです。これだけだと普通のお家騒動です。
問題は、

三男は
・今まで先代ともに一澤帆布を支え25年前に社長に就任し、昔は儲かっていなかった一澤帆布を今日の姿に育て上げた。
・遺言書は巻紙に毛筆で書き、実印を押したもので会社の顧問弁護士に預けていた。

長男は
・今まで銀行に勤めており、昔は業績が悪くつぶれそうだった家業には見向きもしなかった。
・遺言書は市販の便箋にボールペンで書いたもので、三男の悪口がつづられたもの。
・押されていたはんこは、先代が使っていた「一澤」のものではなく「一沢」。


というところです。法律的にはどんな物でどういう風に遺言書が書かれているとか、そんなことは関係ないので長男が勝訴したんでしょう。でも、どー考えても長男の遺言書はうさん臭いですよね……。
だいたい今まで25年間会社を経営してきた三男の信三郎さんの悪口を遺言書で書いて、死んでから経営権を剥奪するような行為を先代がするのかと。三男の信三郎さんが気に入らなかったのなら、生きているうちに長男が今回したように株主総会を強行して社長職を解任すれば良かったのですから。

上記の情報は三男の信三郎さんサイドからの情報なので丸呑みは危険かもしれません。しかし、ほとんどの従業員とかばん職人さんは三男の信三郎さんについて行っていることから、どちらが正しいのかは言わずもがなです。

長男は銀行を定年まで勤め上げた方だそうなので60歳は超えてますよね。余生はゆっくりすごそうと思えば十分できるでしょうに、何を思ったか一澤帆布乗っ取り……。三男の信三郎さんに託されていた遺言書は、「先代の銀行口座の中身はすべて長男に」とあったそうなのに。
しかも一澤帆布の経営権をとったはいいが、技術者が全員三男の信三郎さんについて行ってしまって営業できない…。

そんな長男はこの期に及んで、実質的に一澤帆布であるといえる三男が、別ブランドで営業できないように、”「一澤帆布工業に損害を与える」として、類似かばんの製造差し止めなどを求める法的手続きをとる意向”だそうで。

一澤帆布(長男)に現在かばん職人は居ないので、しばらく営業はできないようです。一澤帆布加工所(三男)は工場を長男に追い出されるので技術者は居ても場所がないので営業ができません

とりあえず、こんな事で老舗のお店が消えるのだけは勘弁してほしいものです。


◎参考
一澤帆布加工所スタッフからのメッセージ
一澤帆布:買えない? 別ブランド名で製造へ--相続で兄弟対立-企業 - MSN毎日インタラクティブ
<一澤帆布工業>社長解任で、かばん製造販売は当面ストップ - Yahoo!ニュース