何故渋滞率92%[京都丹波道路]は 無料継続で、渋滞率40%[沖縄自動車道] が無料化中止なのか

昨日、高速道路無料化による影響について国土交通省掲載の資料を元にグラフを作成してみたわけですが、そのなかで渋滞率ナンバーワンの京都丹波道路が無料化継続なのに、何故ナンバー4の沖縄が無料化中止になるのかが気になりました。今回はそのことについて書いていきます。

ちなみに渋滞率ワーストは以下のとおりとなっています。


第一位 92% 京都丹波道路

第二位 84% 西九州自動車道

第三位 58% 広島呉道路

第四位 40% 沖縄自動車道

第五位 31% 西湘バイパス


各メディアの報道では「渋滞が激しい為」沖縄に関しては6月から無料化を中止するとあります。同じ理論なら沖縄より上位にある3高速道路にかんしても無料化中止になっても良いはず・・・。

もしかすると、「渋滞発生率は上述の順位だけれど車両の絶対数が違い影響度に差があるとか?」と思い、京都丹波道路と沖縄自動車道を比べてみるとこんな感じに。


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ビックリするほど、無料化前の規模が同じ2路線。似たような規模の道路を選定しているんでしょうから当たり前か。無料化後の上昇率は京都丹波道路の方が高く、渋滞率が高いのもそのまま結果に現れている納得のデータです。

では何故沖縄だけが中止に?

この疑問について2011年2月14日付けの琉球新報によると


仲井真弘多知事名で県側から要望した内容を国土交通省が受け入れた。


とあり、他紙にも記載が見れるように国土交通省から地元自治体へ継続の可否を聴取した様子が伺えます。

そして、


国土交通省は「他都道府県は鉄軌道があり、渋滞を自主的に回避する選択肢がある。沖縄は定時定速の移動の手段が高速道路しかなく、高速道路の機能維持への要求が高いのは理解できる」と述べた。


とのこと。

つまり、京都丹波道路が無料化継続なのは並走する鉄道があって代替がきくとということですか。調べてみると、沿線鉄道の時刻表ってこんな感じです↓↓↓。

左がJR山陰本線和知駅一時間に一本の時間帯もあります。右は亀岡駅


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とても代替がきくとは思えませんよね。では別に理由があるのか。

国土交通省が自治体に意見を聞いているので、”京都府が何らかの理由で継続を要望した”はずです。京都府が何故継続を希望したかを調べることにしました。

京都府のホームページで検索してみたら、資料が出てきました。


舞鶴若狭自動車道・京都縦貫自動車道の高速道路無料化社会実験の継続実施について」(PDFです)

高速道路無料化に当たっての地域への配慮について」(PDFです)


この資料では、京都府での高速無料化による影響がまとめられており、最終的に「無料化継続を要望する」と記載されています。この資料によれば、色々と好影響があったようです。


  • 京都北部舞鶴の観光客が急増し施設の入場者数が1.7倍に。
  • 物流車両が増加で物流効率化に寄与(府内3.4倍、府外1.9倍)
  • 慢性的な亀岡市内一般道の渋滞が解消(実験前1,300m→実験後0m)

京丹後道路は毎日渋滞ですが、並走する一般道の渋滞は解消し地元住民は幸せ、

舞鶴の観光客や物流も増加して経済活性化、

同じく無料化されている舞鶴若狭自動車道と合わせて考えれば総じてメリットがデメリットを上回っているということのようです。

メリットがあるから継続するというなんとも当たり前かつ平凡な結論に至りました。まぁいいんですが(笑)


ちなみに、この資料によると京都府国土交通省に2点要望をしています。


  • 高速無料化により、京都府が支援している北近畿タンゴ鉄道の経営が厳しくなる為、国による運営支援
  • 高速無料化により、フェリー利用者が減少する為、フェリー会社の国による運営支援

・・・。

*1国土交通省HP掲載の資料を元に作成