三菱UFJによるニコス支援、なぜ増資前に減資をするのか
今朝の日経新聞で㈱三菱UFJフィナンシャル・グループと農林中央金庫の、三菱UFJニコス㈱に対する再建案が明らかになったとの記事が出ていました。
三菱UFJ、ニコスに1000億円支援 農中と追加出資、利息返還の対応急ぐ
三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社でクレジットカード最大手、三菱UFJニコスの再建案が22日、明らかになった。2011年3月期末に三菱UFJと農林中央金庫が約1000億円を追加出資する。取りすぎた利息の返還に対応する引当金を2倍の1400億円に増やし、将来の収益圧迫要因を取り除いたうえ、人員削減などのリストラも実施する。(関連記事経済1面に)
ニコスと三菱UFJが24日の取締役会で決める。ニコスには三菱UFJが85%、農林中金が15%を出資しており、今回の増資は出資比率に応じて両社が引き受ける。同額の減資を実施した上で、3月末に払い込む。
- 過払い金請求に対応した引当金の増額
- 約1,000億円の減資をした上で、同額の増資
という内容ですね。この記事を読んで、”ただ増資するだけでなく、同時に減資もしているのは何故”と思ったので調べてみると、
減資をすると累損が解消できる
ということのようです。なるほど。経営危機に陥っている企業を救済する際によく使われる手法とのこと。具体的には次のようになります。
まず累積損失が蓄積されているとは次のような状態
【純資産の部】
株主資本
1,資本金 5,000
2,利益剰余金 ▲1,000
----------------
純資産合計 4,000
この状態では、銀行融資の際の審査で決算書の見た目が悪く色々と不都合が。また、利益剰余金がマイナスの状態では配当が出来ない為、たとえ次の決算期に利益を800だしても配当できず、株主(今回は三菱UFJ及び農林中央金庫)に利益がない。そこで減資をしてみます。
2,000の減資をすると次のような仕訳に。
(借方) 資 本 金 / (貸方) 資本剰余金
(借方) 資本剰余金 / (貸方)利益剰余金
結果こうなります。
【純資産の部】
株主資本
1,資本金 3,000
2,利益剰余金 1,000
----------------
純資産合計 4,000
これなら純資産額はかわらず4,000なのにもかかわらず、決算書の見た目がよく、利益剰余金もマイナスでないため、次の決算期に利益が出れば配当もできますね。
-----ということのようです。今回は減資して増資をし、将来の過払い金請求に備えた引当金を計上(事前に費用を計上)する為、利益剰余金が再びマイナスにならないように対策できているという感じです。
ちなみに今回の報道を三菱UFJ及び農林中央金庫は否定する文書をホームページに掲載しています。「報道にあるような内容を決定した事実はない」と。報道は明日に決定する見込みとあるので、なんか変な否定の仕方だな・・・。
<2月25日追記>